『大人になっても思春期な女子たち』の本は、「3つの魔法」が散りばめられています。
■魔法①…おとぎ話のような「非現実的な場」を設定
この本では、ふしぎな雑貨店の店主の女性ミラクルと彼女の飼い猫のマジカルが登場します。ミラクルは心理カウンセラーであり、偶然出会った3人の女性たちと何気ない会話を続けるうちに、彼女たちの心のなかにある成長欲求に光を当てていきます。
ミラクルとマジカルはとても謎めいた存在で、この雑貨店はどこか現実離れした雰囲気。でも、実際のカウンセリングも、非日常的な場に足を踏み入れるからこそ、家族や友達には口にできないような思いが飛び出し、自分の本心に向き合うことができるのです。
3人のキャラクターが定まったときから、私の頭のなかでは彼女たちが抱える不安やむなしさ、焦燥感がぐんぐん伝わってきました。なので、本書の30ページから47ページにある3人の“大人思春期物語”のあらすじは、一夜のうちにできてしまったのです。
■魔法② 若い女性がワクワクしながら読める“魔法のキーワード”
私は小説家ではなく、あくまでも心理カウンセラー。なので、全面を小説にするのではなく、心理学理論をきちんと書いた上で、理論の上に物語が成り立っているという形にしなければと思いました。
でも、心理学理論をそのまま解説すると、本書の読者である若い女性には堅苦しく感じられてしまう……。
そこで、大人思春期女子が取り組む発達課題を“大人のタイムカプセル”という名称でくくり、恋愛に一歩踏み込めない状態を“親密モラトリアム”と名付けたりして、若い女性がワクワクするような“魔法のキーワード”をいくつも散りばめたのです。
そして、楽しく読んでいるうちに、すう~っと心理学理論が頭に入るようにしたのです。
■魔法③ 「へえ、私もやってみようかなぁ」という気持ちになれるワークへのいざない
“大人の思春期”に留まっている理由を頭で理解できても、「これからどうすればいいのか」、取り組むべき行動が見えてこなければ、意味がありません。
そこで、本書では3人の女性それぞれの課題に応じたワークを用意し、登場人物がそれに取り組む様子を読むことで、「へえ、このワーク私もやってみようかな」と自然に感じていただけるようないざない方をしています。
いきなり「このワークをやってみよう!」と言われても、面倒くさいと思ってしまうことは多いもの。でも、人がやっている様子を見れば、「へえ、面白そう。私もやってみようかなぁ」、そんな風に思えるものではないでしょうか。
■本を出版して、娘を世の中に送り出すお母さんの心境に……
こうして、物語を読みながら心理学理論を学び、ワークで自己理解ができる1冊で3つの楽しみ方ができる本が誕生! 執筆期間、頭にあるのはこの本のことばかりで、毎日のようにカンヅメ状態。家族にもずいぶん迷惑をかけてしまいました……。
でも、こうして出版してみると、3人の娘を世の中に送り出したお母さんのような心境です。
読者の心に3人の女性が何らかの共感を残し、読者の人生の手助けになることができれば……。そんな気持ちでいっぱいです。
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